証言・フルトヴェングラーかカラヤンか(川口マーン恵美著)

2015/05/02

 
幸田にはフルトヴェングラーが解りません。
 
CDを聴いても音質が悪過ぎ、まともに評価できるはずがないと思うんですよね。
音大の学生などにフルトフェングラーのファンが多いと聞いたことがありますが、「ほんまかいな!?」と理解に苦しみます(^^;

原因の1つは、ヴェルナー・テーリヒェン著「フルトヴェングラーかカラヤンか」の影響ではないかと想像します。
問題作です。ベルリン・フィルのティンパニストが書いた本ということで、20年ばかし前に話題になったものです。幸田も貧乏苦学生時代(笑)、小遣いを工面して購入し読みました。フルトヴェングラーを随分と神格化しています。今日フルトヴェングラーファンが多いのは、その影響でしょう。
その一方でカラヤンを派手に叩きまくっています。いや、カラヤンを叩きたいがために、フルトヴェングラーを崇め奉っているような印象さえあります。
 
こりゃまた酷いもんだな、と感じたわけですが、実際のところはどうなのか、客観的に書かれているのかそれとも恣意的にゆがめられているのか、全く判断がつきません。
 
どうにも歯がゆい思いをしつつ、それから20年以上経過した今になってようやく、その回答らしきものを見つけました。
川口マーン恵美著「証言・フルトヴェングラーかカラヤンか」です。
 
著者川口氏は、しっかりした音楽教育を受けた方だそうで、読み進めつつ安心感、共感を抱きます。
より公平にということで多くのベルリン・フィルメンバーへのインタビューを行っています。途中で疑問が生じると、同じ方を再訪するという念の入り様です。件のテーリヒェン氏やコントラバス奏者ハルトマン氏に、2度3度とインタビューを敢行しています。素晴らしい。
 
幸田の20年来の想像への回答としては、テーリヒェン氏と同じティンパニストである、フォーグラー氏の台詞が衝撃的です。
「テーリヒェンは、ティンパニが下手だったと言っているのです!」
 
そこには、フォーグラーというひとりの優秀なティンパニストの登場によって、次第に出番を失い、窓際に追いやられ、最期までカラヤンを恨み続けたテーリヒェン老人の姿が浮かびます。
そうです。20年前のあの本は、やはり大いに客観性を欠いていたのだと判ります。
 
古き時代の巨匠と、戦後の音楽を築いた巨匠の評価を、より明確により公平に知ることができます。20年待ってようやく、本当に私達の欲していた本が登場した、と感じます。お勧めです。
 
同著を読んだ上で、あらためて両巨匠のCDを聴き比べてみて下さい。
 
 
 
それでも幸田には、フルトヴェングラーが解りませんが・・・・(恥)