スティーブ・ジョブズ 神の交渉術(竹内 一正著)
スティーブ・ジョブズの具体的交渉術を知って、交渉スキルを磨きたいという人には、不向きの本です。
「交渉」というポイントを軸にしつつジョブズの人生を辿る、ジョブズという人物を分析する、というのが本書の主旨のようです。
幸田は昔から、どちらかというとアンチ・アップルでして(笑)、昨今のアップル礼賛が全く理解できません。
そういう方なら問題ありませんが、熱烈なアップルファンの方々が読むのは注意が必要です。なにしろジョブズの胡散臭さ満載です(笑)
スティーブ・ジョブズという人は、いわゆるファイターのようです。猛烈な自己中心の人物で、自分と意見や利害のぶつかる人間は敵味方構わず叩き潰します。
創業時より苦楽を共にしてきたパートナーや、自分の苦境を救ってくれた恩人を平気で放り出します。
掲題の「交渉」にしても、相手を思いやって Win-Win の関係を目指すのではなく、ひたすら自らの利益だけを追求しているようです。
あ、利益といっても自身の個人的利益ではありません。事業の利益です。つまり闘う事業家ですな。
典型的な肉食欧米型事業家です。一般的な日本人からは嫌われるタイプでしょう。
面白い、と感じたこと。
徹底的に闘い続け、成功も勝ち取っているわけですが、それに負けず劣らずたくさんの失敗もしています。
スタッフと共に、恐らく寿命を削って頑張りながら、それでも失敗するケースがあるわけです。
その一方で、放任に等しい状況でありながら成功するケースもあるわけです。
ということは、結果を求めて必死に闘っても仕方がない、という教訓が導き出されるかもしれません。
本当に大切なのは、闘うことよりも「成功イメージを強く持つ」ことではないかと、本書を読みつつ感じました。
そしてジョブズが成功者としての栄誉を掴めた真の理由は、
「失敗しても、不屈の精神でもって何度も立ち上がったから」
であり、また、
「天才的なプレゼン能力によって、再チャレンジのチャンスを何度も得ることができたから」
だと読み取りました。
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