三橋貴明氏の「経済ニュースが10倍よくわかる 日本経済のカラクリ」を読む
経済ニュースが10倍よくわかる 日本経済のカラクリ
三橋貴明著
親父が持っていたので、借りて読んでみました。
三橋氏、相当に頭の良い方なんだろうと思います。
頭の良い方が、まともに経済学の教科書を読まず、自由な発想で経済を考えると、丁度こんな感じになるんでしょうね。
つまり、普通の経済学者が考えもしない着眼点に驚かされるかと思えば、一方で、
「今頃そんな不勉強な事を言ってるのか」
とあきれる部分があったり・・・・。
トータルに見ると、トンデモ本の範疇ですな。
例えば、デフレが良くないからインフレにしろ、ということでバラマキを主張しているわけです。
「バラマキによってインフレになれば、雇用も改善するし借金の実質負担も軽減する。良い事づくめだ」
と。
インフレに、いわゆる「良性と悪性がある」、という事実に目を向けていないんですよね。
経済成長に伴うインフレであれば、良いインフレと言えるでしょう。雇用も改善し、経済は良い方に回転し始めます。
ただバラマキによって通貨の価値を落とし、強引にインフレを招いても、これは単なる悪性インフレです。雇用改善等の、いわゆる良い結果は生じません。
しかも、そういう作為的に作ったインフレというのは、政府や日銀によってうまくコントロールすることができない、というのが昨今の経済学における常識です。
一歩間違えればハイパーインフレ等大混乱を招く、極めて大きなリスクを負っています。いわゆる禁じ手ですな。
「政府が借金を増やし続けても、その分民間の金融資産が増えるだけだ」
という三橋氏の主張も、どうかと思います。
「だから(借金可能額が増え続け)政府が財政破綻することはない」
「借金を増やして、その分民間の金融資産を増やすことが、むしろ政府の仕事だ。GDPも向上する」
という認識は、明らかに間違っています。
経済成長なしに、日本経済のバランスシートが膨らむ、GDPが膨れるというのは、これまた悪性と言えるでしょう。
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