豆腐店、続々廃業「365日働いても利益ない」

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【YOMIURI ONLINE】 2013/11/02
“豆腐店、続々廃業「365日働いても利益ない」”
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20131102-OYT1T00227.htm
 
 豆腐業者が倒産や廃業に追い込まれるケースが増えている。
大豆価格の高騰に加え、スーパーから値下げを求められるなどして経営が悪化し、豆腐業者はこの10年間に全国で約5000軒が廃業。今年8月に破産申請をした都内の業者は「365日丸々働いても利益が出なかった」と苦しい日々を打ち明けた。
(中略)
 だが、5年前から輸入大豆の価格が高騰。豆腐の一部を別の業者から安く仕入れて費用を下げるなどしたが、3年前には3店舗とも閉鎖。デフレの影響でスーパーからも値下げの要請を受けたが、経営が苦しいため、むしろ値上げしてほしいと相談すると、取引が打ち切られた。
(後略)

こういう記事を読むと、胸が痛みます。
豆腐業者だけではないですよね。日本のありとあらゆる業種が、似たような状況におかれています。つまりどこを向いても飽和状態ということです。
これは社会の構図そのものに問題がある、と幸田は指摘したいわけです。
 
幸田がこの記事を読んで感じたことは、大きく2つあります。
まず、労働力の供給過剰について。
 
随分以前の話のようですが、
「科学技術などの大幅な進歩によって、生産性が飛躍的に上がってきた。今後は家族の誰か1人が、週に8時間も働けば充分という時代がやってくる」
といった具合に言われた時代があったようです。
 
SF小説やマンガなどでも、
「ロボットがほとんどの仕事をやってくれて、人間は悠々とビーチサイドで昼寝ができる」
みたいな絵をたくさん見かけましたっけ(笑)
 
昔はこのように、生産性向上を労働者の負担減や賃金改善に振り向ける、という認識があり合意の形成があったのだと思います。
しかし現実はどうでしょうか。
 
日本には「勤労の義務」という胡散臭い概念があり、働く必要のない人間まで労働市場に投入する力が働きます。
戦後復興期は人手不足で、それでも良かったのでしょうけれど、安定成長期に入り、また機械技術などの向上によって労働力は余ります。しかしながら女性も、大人になれば労働市場に加わるのが当たり前の時代になり、さらに労働力が余りまくっているわけです。
そしてさらにさらに、年金問題に絡んで50代退職が60歳となり65歳に延び、最近では70歳まで延びるという話になっています。ですから労働者が大幅にだぶついているのです。
 
供給がだぶつけば当然、労働者の安売り競争となります。労働者の賃金はどんどん、下に向かうわけです。
するとみなさん、経済的に苦しくなるので、小さな子供を抱えた主婦まで「もっと稼がなくちゃ家計が・・・・」と無理して労働市場に戻ってきます。
 
つまり日本の労働市場は、もの凄くだぶついた挙句とんでもない悪循環に陥っているわけですね。
 
労働者がだぶつき賃金が下がると、業者の新規参入もやり易くなります。
既存業者より安い賃金で労働力を確保し、さらに業務効率化を進めたりして、より安価に製品を生産できるようになります。それを武器に、安売りを仕掛けます。
こうして業界の生産力もだぶつき、価格競争に拍車がかかるわけです。同業者同士で体力勝負の潰し合いが始まります。デフレが進行します。
 
労働力の過剰が、やがて業界全体の、いや日本経済全体の供給過剰に繋がり、全てを悪循環へと導きます。そして昔の、バラ色の絵図とは真逆の社会へ向かっています。