実は音楽の基礎がよく解っていない(滝汗) - その3
その2より続きます。久々の続編です。
その1、その2を要約しますと、
「幸田は天才的な音楽の才能を秘めつつ(爆)、音楽の初等教育で躓いた。勿論バカお袋のせいではあるが、実はそれ以前の問題も極めて大きいのではないか」
という考察です。
学術論文だとか専門技術の解説というのは、本来シンプルかつ明快であるべきです。
誤読を許容する文芸作品とは訳が違います。受け手に、なるべく誤解のないよう伝える……というのが極めて重要なんですよね。ある単語を取り上げた途端、受け手が様々に認識するようでは、お話にならないのです。
ですから極力シンプルな用語を心がけるし、重要語句や頻出語句に関しては冒頭でその定義を厳密にします。
音楽という専門技術においても、これは当然、同じ筈です。
ラの音を鳴らせ~
しかし音楽教育の世界では、ストレートな理解を阻害するような用語や解説が、堂々とまかり通っているんです。
その2に書いたように、指揮者が、
「全員、ラの音を鳴らせ~」
と指示した途端、オケメンバーがてんでバラバラの音を出す(笑)ようではダメなんですよ。それが本来の専門技術(の解説)ってもんです。
皆さんも学校の音楽の授業では、ドレミファソラシドを使って教わったと思います。
ハニホヘトイロハはほとんど使わないし、ましてやCDEFGABCも使われなかったと思います。勿論、それらの区別もろくに教わっていません。
いや、もし教わったとしても、教える側が両者の違いを強調しません。なぜ両者を併用するのか、を解説しません。
相対音階と絶対音階
つまり、私達が初等音楽で教わるドレミファソラシドは、ピアノ等の相対的音階「音名」なんですね。
そしてそれとは別に、絶対的音階たる「階名」というモノが存在するのです。しかしその意義を教えない。
それどころか長年音楽を学んだ人でさえ、両者の違いを理解していないのではないか……というケースが多いのです。
その結果が、その2で取り上げた動画の解説なんですよ。
「ドを主音とするドレミファソラシドとは別に、ソを主音とするドレミファソラシドがある」
なんて珍妙な(笑)解説をするわけです。
アホですか!?(^^;
そりゃもう、ドレミファソラシドじゃなくてソラシドレミファ#ソじゃん(苦笑)
正しくは、
「Cを主音とするドレミファソラシド」
「Gを主音とするドレミファソラシド」
と解説すべきでしょうね。相対音階を土台に、相対音階を解説しなきゃいけない場面なんですよ。
音楽入門をうたう諸サイトで、同じケースをさんざん見かけます。
冗談のような状況が発生しうる
そういうアバウトな教育環境だからこそ、音楽という専門技術の世界では、
「ラの音を出せ、と指示したらてんでバラバラの音が鳴る」
という、冗談のような状況が発生しうるわけです。
その2でも取り上げた、名作「のだめカンタービレ」(音楽についてよく取材されていると思います)でさえ、そういう頓珍漢なシーンが登場するのです。
つまりオケやブラバンのリハでは、相対音階である「ドレミファソラシド」は使用しません。絶対音階のみ使用し、指揮者は、
「Aの音を出せ」
と指示するわけです。
他の専門技術の世界では、まずあり得ない話です。
論理思考の幸田少年が混乱した理由は、まさにそこにあるんですね。
冗談のような状況が発生しうる
その癖幸田は「妖怪ものぐさ男」なので、その原因追求がおろそかでした。いや、そりゃもう、今みたいにネットなんか存在しない時代ですから、やむを得ないですよね。
1つの疑問を、そう簡単に調べて一発解決……という時代ではありませんでしたから。
思うに日本人の大半は、ピアノで音楽教育を受けます。
で、習う側のみならず教える側も、それが汎用的な音楽教育なのか、それともピアノ固有の音楽指導なのか、ろくに区別が付いていないんだと思います。
そのせいで、実はピアノ固有の音楽指導のみを受けたに過ぎない人々が、
「オレは私は、真っ当な音楽教育を一通り受けたんだぜ(えっへん)」
と思い込んでいるのだと想像します。
だから、ピアノの世界から一歩外へ出た瞬間、応用が効かない。
そりゃオマエ、チッ○キチ~や!!
今回、幸田は様々な音楽知識を漁りまくり、幾つかの問題に気付きました。
例えば「嬰」だとか「変」だといった文字を見て、皆さんは即座に意味を推測できますか!?
「嬰」ってシャープの事だそうです。半音上げ。
「変」はフラット。半音下げ。
全然、ピンと来ないですよね(苦笑)
そもそも「嬰」に至っては、多分常用漢字ですらないと思います。
そんな用語を、音楽という専門技術の用語としていまだに利用しているんです。
前述の、
「受け手に、なるべく誤解のないよう伝える」
というコンセプトに適っていますか!?
その4へ続きます。
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