「震災列島」は新たな日本の在り方を示唆する
私はガキの頃に、わずかですが歴史を齧りました。
日本人が古来、いかにしてこの災害だらけの国土において生きてきたか。自然と闘い、調和し、いかなる文化を築いてきたか。多少なりとも理解しているつもりです。
だからこそ著者の指摘には、大いに考えさせられました。
いずれ到来する新たな日本をどう創るべきか、示唆してくれているような気すらします。
ついでに挙げると、浜岡原発のトラブル描写も秀逸ですね。
昨年の福島第一原発事故を予言するかのような、脅威の描写。
著者石黒氏は、決して原発の専門家ではありません。しかしながら、この小説の出版された2004年時点で、専門外の著者がちょちょっと調べて判明するような問題点が2011年になっても未解決で、そのまま福島第一原発の事故に繋がった、というまやかしの現実を痛感します。自然の摂理に耳を傾けず、応用科学に利権を追求する愚かさあさましさを思い知らされます。
死都日本
石黒耀著
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