ブロムシュテット+LGOのブルックナー交響曲全集

2013/10/23

ブルックナー 交響曲全集
ヘルベルト・ブロムシュテット指揮+ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
SACD

 

 
やっと全てが揃いました。
いやホント、長かったです。巨匠はすでに高齢ですから、待っている側としては気が気じゃないんですよね(^^;

でもこうやって、ちゃんと全て揃いました。
最後は2番、9番と一気に2枚リリースされ、おまけに全集までまとめて発売されました。
 
おや?、と感じたのは、リリース後半に差し掛かり3番を聴き、そして1番を聴いた時でしょうか。
 
最初にリリースされたのは8番でした。絶望のどん底にあってかすかな光を希求している、とでも表現すべき渋い演奏でした。丁度巨匠の境地にドンピシャなのだろうと感じたほどの、自然体、いや作品と等身大の演奏と言いましょうか。
 
ところがそれから数年を経てリリースされた1番は、呆れるほどに元気で、自由快活なのです。
これが80過ぎのおじいちゃんの演奏ですか、と。むか~し若い頃に録音したテープを、こそっと持ち出してリリースしたんじゃないですか、と(笑)
それぞれのギャップが気になり出したわけです。
 
で、最後にリリースされた9番を聴いて、ニブい幸田もさすがに理解しました。そこには死を達観したブルックナー老人の、枯淡の境地が見事に音となっています。1番とは大違いなのです。
 
ブルックナーを得意とする指揮者はたくさんおられますが、
「これがオレのブルックナーだ!!」
と言わんばかりの強烈な演奏を一本調子で揃え、全集をリリースします。
 
これに対しブロムシュテットは、それぞれの作品を描き上げた頃のブルックナーの境地を、1つ1つに込めているわけです。
つまりこの全集は、ブルックナーの一生を描写しているらしいのです。いやもう、びっくりです。どなたか巨匠の意図に気づかれた方、いらっしゃいますか!?
 
全曲を通して言えることは、無駄がなく、不足もなく、瑞々しさや香気溢れる名演だということです。
気が小さく、神を恐れ、しかし誰よりも神の愛や慈悲を請い願うアントン・ブルックナーが、確かにそこにいます。精緻な演奏で、音質も非常に良いです。
 
クラシックは好きだがブルックナーは苦手、という人は是非、このブロムシュテットのブル全を聴いてみて下さい。
おそらくあっさりブルックナーを理解し、かつ病みつきになると思います。
 
また多くのCDを聴きブルックナーを深く理解する方々も、いずれ辿り着く先はブロムシュテットのブル全ではないかと思います。