「死都日本」を読んで東北大震災を考える
死都日本のラストは、日本の現状と比較して、考えさせられる点が多々あります。
まず大災害の少し前に政権交代を果たし、革新派の優秀な党首が首相になります。その後西日本が壊滅するという、破滅的大被害を被ります。
しかし大災害を予測し、政府は予め様々な対策を講じているのです。だから災害発生と同時に、ありとあらゆる手を打ちます。被災者救助も経済対策も万全なのです。
極めつけが金融政策。まず首相は財界の重鎮を集め、日時を定めて米国債をことごとく叩き売ります。
そして首相が内外に対し、メッセージを発するのです。曰く、
「この災害は日本のみならず世界中に、何年にもわたり損害をもたらすだろう。ただ日本は少し前からそれを予測し、対策を練ってきた。充分に手を打ってきたので、すぐに立ち直ることが出来る」
と。
世界が日本の復興と首相のリーダーシップに期待し、暴落した円が値を戻します。そこで米国債を買い戻します。円も米国債も大いに暴落した時点で売り、円が上がったところで買い戻すのですから、そりゃもう大儲けですよ。
日本の財政は破綻するどころか、むしろ被災前より改善するというのです。そしてそこから、日本の復興が始まります。
どうですか!?
リスクの予測であるとか、そういった想定の元に予め対策を立てておくことの大切さ。
そしてリーダーシップ。
片や現実、片やしょせん小説ではありますが、この国に何が欠けているのか、日本再生の条件とは何なのかを考えさせられます。
地元宮崎人にとっては特に、手に汗を握るリアリティ溢れる小説です。
宮崎以外の方々にも是非是非、この機会に読んでみて頂きたい一冊です。
ディスカッション
コメント一覧
はじめまして。
私も今年の1月に死都日本を読みました。
破局的噴火の描写や日本の神話と火山のつながりについての解釈が非常に面白いと感じ、何度も読んでしまいました。
しかし、読み終えたときに最も考えさせられたのは、大規模な自然災害に対して我々はどのように備えるのかということと、万一自然災害に遭遇したときに、我々はどう生き延び、その後どう復興して行くのかということでした(著者と似たような問題意識かもしれません)。
大規模な自然災害は起こらないに超したことはありませんが、残念ながら、3月11日に震災が発生してしまいました。
死都日本の菅原首相のような危機管理体制ができれば理想ですが、死都日本の破局的噴火とは異なり、貞観地震と同様の地震の再来が十分に予測されていたとは言えなかった今回の状況では、現在の民主党政権の対応は合格とまではいえないまでも、仕方ないのかなと思います。
政治には、これからどのような国を作って行くのか、壮大なビジョンを示してもらいたいものです。
しげさん、はじめまして。コメントどうもありがとうございます。
大震災発生から1ヶ月が経過しましたが、民主党政権に対し、相当に厳しい評価をせざるを得ませんね。
ビジョンを示せてこそ前に進める。それこそがリーダーシップですよね。
なぜ、全てが後手後手なのか、理由は明白です。
日本の浮沈がかかっています。危機感をおぼえます。